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スタートアップの成長を左右する重要な要素として「参入障壁」が挙げられます。
ON&BOARDでも、出資先の経営チームを支援するなかで、創業初期における参入障壁の検討がその後の事業成長に大きな影響を及ぼすと実感しています。
そこで、本記事では参入障壁の考え方や具体的な構築手法を解説していきます。
目次
・参入障壁とは何か?
・スイッチングコストはどうやって高めるのか
・創業期にできる参入障壁の構築方法
・競争優位性の裏側にある課題
・まとめ:市場競争に勝つための戦略
参入障壁とは何か?
まず、参入障壁とは他社が同じ市場に容易に進出できないようにするための仕組みです。
創業期から「どうやって参入障壁を作るのか」「どのように差別化をするのか」考えながら、事業プランを策定していく必要があります。
一方で、特許や独自技術を持たない場合には「他社が展開できない事業」を作ることは簡単ではありません。
そこで、いかにしてスイッチングコスト(別のサービスに乗り換える際のコスト)を高めるのかが重要になります。
スイッチングコストはどうやって高めるのか
スイッチングコストを高めることは、参入障壁の本質と言えます。顧客が代替手段に移行しにくい状況を作り、自社の製品やサービスを使い続けてもらうことが目標です。
具体的には以下のような取り組みが考えられます。
- 顧客ロイヤルティの向上:顧客にとって自社が選ばれ続ける理由を作る
- 競合からの流入促進:他社の顧客が自社に移行しやすい仕組みを整える
- 類似サービスへの移行防止:競合他社の製品やサービスに乗り換える際のコストを高める
これらを実現するためには、総合的にさまざまな工夫をする必要があります。
創業期にできる参入障壁の構築方法
創業期はリソースが限られている中、事業を立ち上げているため、画期的な参入障壁をすぐには構築することはできません。しかし、以下のような工夫で差別化を図ることが可能です。
- 独自のネットワーク活用:自社にしかないネットワークを活かす
- 有識者との連携:特定分野の専門家と協力する
- ユーザーコミュニティの構築:顧客が自社サービスを使い続ける理由を提供する
- 特許の取得:技術的な優位性を確保する
また、大手企業が取り組みにくいニッチ市場に目を向けることも有効です。スタートアップだからこそ、一見市場が小さかったり、見過ごされている課題にフォーカスして、顧客が本当に必要とするサービスの提供にチャレンジすることができます。
市場規模が小さくても一定の市場シェアを獲得し、ブランド価値を築くことで、将来的に大きな市場へと拡大する足がかりにもなります。
競争優位性の裏側にある課題
競争優位性を築くためには、競合が同じ市場に参入しにくい理由を深く考えることが重要です。特に、BtoBの場合には、業界内で重要なポジションに位置する顧客を獲得することで、参入障壁を構築することができます。
一方、BtoCではネットワーク効果が大きな役割を果たします。たとえば、ユーザーが多ければ多いほど、価値が高まるプラットフォーム型ビジネスでは、新規参入者が既存プレイヤーのネットワークに追いつくのはそう簡単ではありません。
まとめ:市場競争に勝つための戦略
競争が激しい市場では、以下のような戦略が求められます。
- スピード勝負:競合よりも早く顧客基盤を築く
- リソースの最適化:人・物・金を迅速に集約する。
- 市場シェアの獲得:早い段階で市場内の優位性を確立する。
特に、同時期に生まれる競合に対しては、迅速な意思決定と経営リソースの確保が鍵となります。
創業期における参入障壁の構築は、一朝一夕では成し得ません。しかし、顧客に選ばれ続ける仕組みや競合が追随しにくい環境を整えることで、長期的な競争優位性を確立することができます。
ON&BOARD TIMES編集部
ON&BOARD TIMES編集部