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大手企業、NASA、米軍でも活用される性格診断

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BY ON&BOARD TIMES編集部

大手企業、NASA、米軍でも活用される性格診断

前回、スタートアップの成功は創業者の才能以上に、性格によるチームメンバー間での相互作用に大きく依存していること、ON&BOARDのチーム作りでも実際に活用していることについて触れました。

更に調べてみると、性格診断は世界的企業の人材戦略から、米軍の緻密な選抜プロセス、NASAの宇宙探査ミッションまで様々なシーンで活用されているようです。

この記事では、理想的なチームを構築するために活用されている性格診断の事例を紹介します。皆さんの採用プロセスやチーム作りにぜひ活かしてみてください。

目次

  • 採用試験に性格テストを活用する大手企業
  • 性格診断は米軍やNASAでも活用される⁈
  • 長期間の宇宙プロジェクトを成功させるために

採用試験に性格テストを活用する大手企業

いくつかの大手企業では、すでに採用試験で性格テストが活用されています。具体事例を見ていきましょう。

・米コカ・コーラ

コカ・コーラでは、オンライン上の仮想職場で、候補者にゲーム要素を組み込んだテストを実施しています。

実際の業務シナリオを反映した問題を通じて、候補者が困難な状況やチーム内のコンフリクトにどう対処するかが評価されます。

また、その過程での性格診断により、候補者の性格、動機付け、行動傾向を分析し、組織の文化や役割にどの程度適合するのかを見極めています。

こうした性格診断が候補者の能力の理解や、適切な人材配置を行うために重要な役割を果たしているのです。

・米デロイト・トウシュ・トーマツ

4大会計事務所のデロイトでは、面接を実施する前の段階で、60分程度のアセスメント(評価)テストを実施しています。

このテストには、候補者の性格特性、価値観、動機付けなどをより深く理解するための質問が含まれています。例えば、「私は新しいアイディアを受け入れることが好きである」と「私は慣れ親しんだ方法が好きである」のような対照的な質問です。

これらに対する回答で性格特性を把握し、職場でのパフォーマンスやチーム内での相互作用に関する洞察を得ることを目的としています。

・米ベイン・アンド・カンパニー

一部オフィスでは採用試験のプロセスで、英スキル評価企業SOVAのテストが導入されています。

ベイン・フィット(ベイン・アンド・カンパニーへのカルチャーフィット)を見極めるために、過去の行動や経験に関する質問から性格特製の見極めが行われているんです。

コカ・コーラ、デロイト、ベインの3社は、いずれも履歴書選考を行い、面接を行う前段階で、自社にフィットする性格・行動特性なのかを見極めるために性格診断が活用されています。

性格診断は米軍やNASAでも活用される⁈

米陸軍は志願兵がどの程度の能力を発揮できるかを予測するために広範な性格診断を受けることを求めています。

兵士向けに開発されたTAPAS(Tailored Adaptive Personality Assessment System)と呼ばれる120問ほどでの性格診断テストを活用することで、潜在的な兵士のパフォーマンス、行動、態度を予測することにつなげています。

これは単に志願者の性格・行動特性を評価するためだけではなく、米軍入隊資格試験(AFQT)の基準をわずかに満たせなかった志願兵を再評価するためにも活用されています。

知能指数以上に志願者の動機付けや行動特性を評価できるため、兵士として活躍できるかを見極め、陸軍の全体的な質を向上させる狙いがあるのです。

そのため、TAPASで上位50%に入ることができると、AFQTのスコアを満たしていなくても入隊することができるんです。

さらに、最も死亡する可能性が高い接近戦に適した兵士を見つけ、部隊を編成する上でもTAPASの結果が活用されています。

兵士は死と隣り合わせであるため、最大限パフォーマンスを発揮し、リスクを減らすために性格診断が重要な役割をになっているのです。

長期間の宇宙プロジェクトを成功させるために

NASAでは、宇宙飛行士候補の選抜プロセスの一環で、性格診断が活用されています。

宇宙飛行士は長期間の隔離・極限状態で、ミッションを遂行するため、ストレス耐性や、チームが最大限成果を発揮するための性格の組み合わせが重要なんです。

具体的には、高い感情の安定性、人並み以上の協調性、人並み程度の開放性、一定以上の誠実性、そして最低限の外交性が求められています。

また、NASAの研究では、ユーモアのセンスも重要な要素とされており、宇宙船内でのチームの相性、衝突の解決、ストレス対処において大きな役割を果たすとされています。

これらは南極で行われた隔離実験の結果が参考にされており、回復力・適応性・チーム志向の強い人が適切にストレス対処・問題解決戦略の実行ができると、チームは上手く機能することがわかっています。

性格診断は、スタートアップのチームメンバー間の相互作用から、大手企業の人材選抜、米軍やNASAのような特殊な環境での人材評価まで、幅広い分野で重要な役割を果たしています。

ぜひ、皆さんの採用プロセスやチーム作りにおいても性格診断を活用してみてください。