日本がスタートアップ大国になるために乗り越えるべき課題
世界各国でスタートアップは私たちの生活を支える重要な役割を果たしています。
日本においても岸田政権が「スタートアップ育成5か年計画」を掲げるなど、スタートアップの支援には追い風が吹いていますが、働き方として起業が「当たり前の選択肢」になるには、まだ時間を要すると思われます。
我々、ON&BOARDはそんな状況を変革して、日本のスタートアップエコシステムに明るい未来を切り開くべく、新たなチャレンジに取り組みます。
目次
- 我々の生活を支えるスタートアップ
- 企業の新陳代謝が進まない日本
- スタートアップ大国に進化した欧州諸国から学ぶ
我々の生活を支えるスタートアップ
現代社会において、スタートアップが私たちにとって今まで以上に大きな存在となっているという事は、多くの人が感じていることかもしれません。
ほんの一例に過ぎませんが、Netflix、Airbnb、更にはCOVID-19ワクチンを開発したモデルナも近年生まれたスタートアップであり、数多くのスタートアップの製品・サービスが、私たちの生活を支えています。
またニュースを見れば、日々新たなスタートアップの成功や挑戦に関する報道がされており、「私たちがスタートアップに触れない日はない」と言っても過言ではありません。
ただ、日々挑戦を続ける起業家のストーリーは、多くの人にとって普段聞くことの無いワクワクする話である一方、どこか自分とは直接関係のない、他人事に感じることもあるのではないでしょうか。
企業の新陳代謝が進まない日本
各国の企業の参入・退出率の平均(創造的破壊指標)と経済成長率の関係を調べると、「創造的破壊の指標が高い国ほど、一人当たり経済成長率が高い」ということがわかっています。
その中で、日本は開業率・廃業率共に、他の先進国に比べて低位で推移していますが、「起業を望ましい職業選択である」と答える人の割合も、他国と比べて著しく低い状況となっています。
他国と比べて、企業に新陳代謝がないがゆえに、チャレンジを起こしづらい状況とも言えます。
人口減少・少子高齢化などで、日本社会自体が転換点を迎えつつある現代において、終身雇用・新卒一括採用等に代表されるような日本特有の制度は、経済的なダイナミズムと創造性の抑制につながっている可能性を否定することはできないでしょう。
スタートアップ大国に進化した欧州諸国から学ぶ
米国は建国当初からの開拓者精神が、現在の起業家精神につながっています。スタートアップ大国になるには、このような文化的・社会的な構造がないと難しいのでしょうか。
諸外国の動向を見ると、必ずしもそうとは言い切れません。
例えば、フランスは政治・経済的にも保守的な傾向が強い国です。しかし、2013年にオランド政権でスタートアップ支援プロジェクト「La French Tech(フレンチテック)」が立ち上げられてから、マクロン現大統領(当時、経済・産業・デジタル大臣)が集中的にスタートアップ支援策を展開してきました。
その結果、2018年時点ではスタートアップが約700社しかありませんでしたが、23年末には2万2000社超えに。ユニコーン企業数も20年1月時点ではわずか8社でしたが、24年2月には30社にまで増加するほど、変貌を遂げました。
「フランスにある世界最大のスタートアップキャンパス Station F」
フィンランドもNokiaショック(Nokiaは2011年まで携帯電話の世界シェア1位もスマホの登場で急速に衰退)以降、スタートアップを育てる国策に取り組んだところ、数年でスタートアップ大国へと変化を遂げました。
先日、とある北欧のVCから、「起業を志望する学生がNokiaショック前は1割に満たなかったのに対し、数々の北欧発スタートアップの成功を皮切りに、今では大半の学生が起業を志望している」という話を聞きました。
つまり、起業が当たり前になる世界を実現するために最も重要なことは、その世界が当たり前になるための社会基盤の実装と成功事例の創出であると言えるでしょう。
日本も政府や事業会社、そして私たちベンチャーキャピタルなど、様々な関係者がスタートアップの力強い支援に取り組んでいます。1件でも多くの成功事例を生み出すことができると、さらに多くの人が「自分も挑戦したい」と思えるような正の循環を作り出すことができるでしょう。
我々、ON&BOARDとしても「スタートアップこそが、私たちが抱える課題を解決し、世界を動かす新たな力となる」という強い信念を持ち、ベンチャーキャピタルとして、今までにない果敢なチャレンジで、日本のスタートアップエコシステムを変えることに取り組んでいきます。
未来を切り拓くすべての起業家の皆様と共に、ON&BOARDは常に前進していきます。
東京都出身。2009年三菱商事に入社。防衛・自動車関連のトレーディング業務、在インドネシア自動車販社における商品企画・販売のOperation主導、本社投資委員会における多数の投資・事業再生・撤退案件の稟議、自動車事業本部の戦略立案等、幅広い業務に従事。
商社での業務を通じて日本の産業競争力の変化を目の当たりする中、「日本発のイノベーション創出により直接的に関わりたい」との思いから、ON&BOARD創業に参画。
一橋大学法学部卒(在学中、英国Warwick大学Politics & International Studies留学)。