News
お知らせ
【イベントレポート後編】長野県・軽井沢に投資家・CVC・スタートアップ200名強が集結! スタートアップ合宿「SWISH! Startup Camp 2025」を開催いたしました。
ON&BOARD株式会社は、2025年10月18日(土)から19日(日)にかけて長野県軽井沢町の「ライジングフィールド軽井沢」にて、スタートアップ合宿「Swish! Startup Camp 2025」(以下「Swish!」)を開催しました。
本記事(後編)では、長野県軽井沢町で開催されたスタートアップ合宿「SWISH! Startup Camp 2025」の2日目(10/19)の様子をお届けします。
前編でご紹介した初日の熱気と、夜の「焚き火懇親会」で深まった参加者同士の絆。その温度感をそのままに、2日目は身体と頭脳をフル活用するアクティブラーニングからスタートしました。
Day2は、より個人のキャリアや「長野」というフィールドに焦点を当てたセッションが展開され、参加者はただ話を聞くだけではなく、自らの課題として深く内省し、対話する時間を過ごしました。

本記事(後編)では、2日目(10/19)に行われた、身体と頭脳をフル活用する「アクティブラーニング」から、長野県・金融機関による「スペシャルセッション」、そして経営者のキャリアや深層に迫る「対話(ダイアログ)」の様子を、登壇者の背景と共にお届けいたします。
▶︎前編はこちらから
目次
- SWISH! Startup Camp Day2:朝の静寂とアクティブラーニング
- オープニングメッセージ
- 10/19(日) セッション① (12:00-13:00)
- 10/19(日) セッション② (13:10-14:10)
- 10/19(日) セッション③ (14:20-15:20)
- エンディング
SWISH! Startup Camp Day2:朝の静寂とアクティブラーニング
Day2の朝は、軽井沢ならではの凛とした冷気と、木漏れ日の中で始まりました。 SWISH! の特徴の一つである「アクティブラーニング」は、早朝8:30からスタート。会場である「Team Adventure」エリアでは、座学形式のカンファレンスでは決して体験できない、身体を使ったチームビルディングが行われました。
初対面の参加者同士がチームを組み、森の中に設置された課題(アドベンチャー)に挑戦。不安定な足場を協力して渡ったり、言葉を使わずに意思疎通を図ったりするプロセスを通じて、前夜の交流とはまた違った「戦友」のような連帯感が醸成されました。
脳だけでなく五感をフルに開くことで、午後のダイアログ(対話)に向けた集中力と受容力が高められた状態で、2日目のプログラムが幕を開けました。

オープニングメッセージ
アクティブラーニングを終え、心地よい疲労感と高揚感に包まれた参加者たちは、再び各フィールドへ。Day2のセッション開始に先立ち、改めて本合宿の意義が共有されました。「単なるネットワーキングではなく、ここから具体的なアクションと共創を生み出すこと」。そのメッセージを胸に、参加者はそれぞれの会場へと散らばっていきました。
10/19(日) セッション① (12:00-13:00)
ランチタイムを兼ねたDay2最初のセッションでは、大企業の経営哲学と、シリアルアントレプレナーの起業精神という、対照的かつ本質的なテーマが2会場で展開されました。

[スカイフィールドB] なぜ2回目の起業に取り組むのか? グロース市場 上場経験者に聞く起業家精神とは
- 登壇者: 井上 裕基 氏 (Sushi AI 代表取締役 会長)
- ファシリテーター: 長谷川 俊介 氏 (ON&BOARD Partner)
かつてD2C企業ワイヤードアンドキューブ(枠)を創業し、2021年に上場へと導いた井上氏。本セッションでは、その壮絶なジェットコースターのような起業人生と、再び「Sushi AI」でゼロから挑戦する理由が語られました。 井上氏は、前職時代に景品表示法違反による売上9割減という壊滅的な危機に直面。自身も一時的なメンタル不調に陥りましたが、仲間の支えによりV字回復を果たし、執念でIPOを実現しました。しかし、上場後の環境変化を受け、再び「世の中を変える」という原点に回帰。 現在は、需要に対して供給が圧倒的に足りていない生成AI領域をブルーオーシャンと捉え、第2創業に邁進しています。井上氏は「日本の経験豊富なシニア経営者と、志ある若手AIエンジニアを繋ぐインキュベーションプラットフォームを作る」と宣言。一度頂点を見たからこそ描ける、より大きなビジョンに参加者は熱狂しました。
10/19(日) セッション② (13:10-14:10)
午後のメインステージでは、開催地である長野県と金融機関、そしてスタートアップが一堂に会するスペシャルセッションが開催されました。
[スカイフィールドメインステージ] 長野県・金融機関スペシャルセッション STARTUP × NAGANO ~長野発ユニコーンを生み出すために、私たちにできること~
- 登壇者: 山田 尚那 氏 (八十二インベストメント 営業部副部長) ,岩野 秀朗 氏 (三菱UFJ銀行 成長産業支援室室長) ,鶴岡 秀規 氏 (三菱UFJ信託銀行 法人マーケット統括部 副部 長兼法人事業開発室長), 斎藤 健一 氏 (日本政策金融公庫長野支店 生活事業部事業統括), 伊藤 達哉 氏 (長野県庁 産業労働部経営・創業支援課係長) 柿崎 俊輔 氏 (セールスブレイン 代表取締役)
- ファシリテーター: 掛川 直斗 氏 (八十二銀行 営業渉外部)
「スタートアップエコシステム拠点都市」としての未来像が提示されました。 長野県庁の伊藤氏は、低金利の制度融資やSSファンド、法人事業税の減税といった手厚い支援策を紹介。一方、メガバンクや信託銀行からは、長野が持つ「観光」「アグリ」「精密機器」といった豊かな地域資源とテクノロジーを掛け合わせた「ディープテック」への高い期待が寄せられました。 議論の白熱したポイントは、アカデミア発シーズの社会実装です。「信州大学には200以上の有望な技術シーズがあるが、それを事業化する経営人材が不足している」という課題に対し、三菱UFJ信託銀行の鶴岡氏は、経営者候補と地方企業をマッチングする「サーチファンド」の仕組みなどを提案。 軽井沢で起業したセールスブレインの柿崎氏は、リモートワークと地域コミュニティを活かした「豊かな生活と事業成長の両立」の実体験を語り、インバウンド需要が高まる長野には、東京にはない巨大なビジネスチャンスが眠っていることを証明しました。
10/19(日) セッション③ (14:20-15:20)

合宿の最後を飾るセッション③では、個人のキャリアの転換と、事業上の困難(壁)をどう突破するかという、より内面的なテーマでの対話が行われました。
[スカイフィールドA] 僕が起業家を辞め、投資家になった理由 ~キャリアの転換点と、その先に見えた使命~
- 登壇者: 矢部 寿明 氏 (東京大学エッジキャピタルパートナーズ アソシエイト)
- ファシリテーター: 藤原 由佳 氏 (EY新日本有限責任監査法人 パートナー)
午後に行われたセッションでは、元Credit創業者の矢部氏が、累計約10億円を調達しながらも会社を解散・精算するに至った経緯を赤裸々に語りました。 矢部氏は、個人の信用スコアを最適化する事業で創業。最大のターニングポイントは、MUFG・アコムグループとの大型共同事業の獲得でした。これを「勝ち筋」と定め、社運を賭けてリソースを集中投下しましたが、システム開発の難航やステークホルダー間の期待値調整のズレによりプロジェクトが頓挫。 「唯一の勝ち筋」を失い、資金も尽きかけ、さらに私生活での離婚も重なるという極限状態の中で、「もう戦えない」と会社を畳む決断を下しました。矢部氏は、失敗の原因は一つではなく、無数の小さな意思決定やエグゼキューションの質が低かったことの積み重ねであると分析。「起業家の幸福度は創業時がピークで、あとは下がり続けるもの。成功する起業家はメンタルが強いのではなく、ダメージを受けない(麻痺する)術を身につけ、学び続けている人だ」という言葉には、会場から深い納得の空気が流れました。
[スカイフィールドB] リアルとITを繋ぐビジネスの『壁』 ~困難を乗り越える、起業家の突破力~
- 登壇者: 工藤 慎一 氏 (ecbo 代表取締役)
- ファシリテーター: 大木 健人 氏 (Boutique Residence & Co. 代表取締役)
Day 2最後のセッションでは、荷物預かりサービス「ecbo cloak」を展開する工藤氏が登壇。リアルな店舗やオペレーションを伴うビジネスならではの「泥臭い」苦労と、それを突破する力について語りました。 特に、コロナ禍でインバウンド需要が蒸発し、事業の根幹が揺らいだ際の危機対応は壮絶なものでした。工藤氏は、単にITで効率化するだけでなく、現場に足を運び、店舗オーナー一人ひとりと対話を重ねることでしか見えない「突破口」があることを強調。 「逆境こそが、プロダクトを磨き上げる最大の機会である」。ITの力とリアルの現場力を融合させ、壁を乗り越えてきた工藤氏の言葉は、安易なデジタル化に逃げない、本質的な事業開発のあり方を参加者に問いかけるものでした。
エンディング (15:30-15:45)
2日間にわたる全プログラムが終了し、スカイフィールドメインステージにてエンディングが行われました。 「Closing Distance」をテーマに掲げた今回のSWISH! Startup Camp。初日のよそよそしさは微塵もなく、会場は参加者同士の熱い握手と笑顔で溢れかえっていました。 「ここで出会った仲間と、次はビジネスの現場で再会しよう」。 そんな約束と共に、200名強のリーダーたちは、それぞれの挑戦の場へと戻っていきました。長野・軽井沢の地で灯された小さな火種は、参加者それぞれの場所で大きな炎となり、日本の未来を照らしていくことでしょう。
ON&BOARD株式会社は、今後もこのような場を通じて、挑戦する人々の想いを繋ぎ、スタートアップ・エコシステムの発展に貢献してまいります。 次回のSWISH!で、また皆様とお会いできることを楽しみにしています。


